Aさんの「今日もいい感じ」だよね

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<<   作成日時 : 2008/11/06 09:12   >>

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 気分よく仕事を終え、午後は読書と雑用に勤しむ予定だったが、これだけ天気がよければどこかへ行きたいと虫が騒ぎだす。そういえば最近、ずっと例の焼鳥屋に行ってなかったな。よし、ちょっと出かけてくるか。

 最寄駅まで我が家からはバスで行くのだが、暑くも寒くもなく、おまけに苦手な湿度もほとんど感じない絶好の日和である。週明けからの運動不足解消のためにも、ここは歩いて駅まで行こうじゃないか。
 田園風景が広がる我が家の周囲は自然に溢れている。稲刈りを終えた田圃は雑草が生い茂り、土は荒れ放題となっていた。人が手入れを怠れば、たちまちのうちにこうなってしまうのかという見本である。来年の田植えの準備までこの状況が続くのであろう。川幅3〜4メートルの小川の水量は少なく、相変わらず清らかな流れとはいえない。ドロなのか水なのか判別つかない液体が流れていると言ったほうがよさそうである。これだけの自然があるのだ。一度でいいから、水底まで透き通って見える川を見てみたいものである。
 そうはいっても、緑の自然はありがたい。新緑の香りなど漂っているわけでもないのに、その場に立つだけで目も鼻も皮膚も、鮮やかな空気の流れに喜んでいるのが分かる。いつもなら45分かかる駅までの道、今日は早足で歩いたので10分短縮できた。線路が見えたところで、船橋行きの電車が通り過ぎた。いいさ、数分待てば次の電車がくる。茂木健一郎の本を持っているのだ。待ってる間はこれを読めばいい。
 
 久しぶりに降りた船橋駅。僕は例によってスタバを探し、コーヒーを飲みながら読書に耽る算段をした。この駅の線路と駅舎はちょうど東西の方角に伸びていて、南口からはこれまたきちんと真南の方向に走る道がその先の国道14号線につながる。方角オンチの人でも、このきっちりした区画に道を迷うことはないだろう。僕はしばし、南口から次の大きな道が交差するポイントまで、150メートルほど歩いて、町の印象を探ろうと思った。しかしこの試みは結果的に大いなる失望を僕にもたらしただけであった。
 いちおう、国道までの道は狭いながらもスムースに車が動いている。以前はそうじゃなかった。数年前まで、JRの駅からわずか50メートル先に京成線が並行して走っていたことで、それはもう酷い混雑で身動きが取れない状況だったのだ。京成線の“あかずの踏切”は、町も交通もすべてカオスへと導いたものだ。それが、長い年月をかけ、ようやく高架線になったことで、カオスも解決した。だから、というわけじゃないが、僕は船橋が素敵度数をアップさせ、ちょっと小洒落た町に変貌しているだとうと淡い期待を抱いたのだ。駅前の散歩もそういうわけで、ワクワク気分で始まった。

 しかし結果は失望だけであった。何だこの街並みは。道路沿いの店舗は、ほとんどすべてチェーン店ではないか。居酒屋、ハンバーガー、コーヒー、クレジット(高利貸し)、牛丼、どれもこれもテレビCMでお馴染みの有名チェーン店ばかり。各店舗には総天然色(古い表現だ)の看板がギラギラ輝き、品の悪さを助長する。これだけの古い町なのだから、もっと地場の店があっていいはずだ。それがないのである。
 両側の歩道は、通勤通学用の自転車でビッシリと埋められている。すごい量である。駅に公共の自転車置き場はないのだろうか。あるのか、ないのか…。僕はどうでもよくなった。だって、市から委託されたような管理人が道の真ん中に作られた小屋の前で、自転車の群れを整理しているのが見えたからである。ということは、この歩道って、半分は自転車置き場ということなのか。ただでさえ狭い歩道が、ますます狭くなっているぞ。
 とにかく、歩いていて何一つ歴史的に地元を意識させる店はなかった。寂しいものだ。僕のように街歩きが好きで、その土地土地の生活の匂いを味わいたい人間には、船橋は残念ながら完全NGの町である。

 なんだかんだと悪口ばかり書いたけど、船橋にだって長所はあるぞ。まず、我が家のご長男様が通った高校が船橋である。中学時代、相当に成績が悪かったのにもかかわらず、ほぼ無試験で入学できましたがな(^_^)
 知り合いも何人が住んでいる。サッカーの練習に行く時、必ず通過するので、その意味でも僕はお世話になってる。
 しかしこの街の最大の魅力は、知人に教えてもらった美味しい焼鳥屋だ。KCとだけしておく。駅北口から徒歩5、6分。天沼公園を過ぎたあたりとだけ説明しておく。カウンター席が8つ、テーブル席が3つの、とても小さな店だ。マスターはどこにでもいそうな中年男。一緒に働くのはマスターの奥さん…だと思っていたけど、話を聞いたら同級生だって! それにしては息が合ってる。この2人、単なる同級生ではないぞ(笑)
 なにより素材がいいのである。市場が近いので新鮮な素材が入るのだ。そして焼き方である。これが実に丁寧に焼いてくれるのである。マスターは注文が入るたびに、素材を焼き台(というのだろう)にやさしく置き、途中、霧吹きでシュッシュシュと液体を吹きつける。水分を失わないようにと、水を吹きかけているんだろうと思ったが、そうではなく、日本酒だという。これで肉がいっそう柔らかくなるのだ。ふつうの焼鳥屋はそこまでしない。ただ作業に従って焼いて、皿に盛りつけて客の前に出す。そういう流れだ。
 KCは違う。客の目の前に空の皿を3枚出す。うち2枚は同じデザインの皿である。これは塩とタレ、別々に供するための皿。もう1枚の皿は客が自由に使うためのもの。これだけ細かな神経を使う店を僕は知らない。それでいて料金は一般的なのである。
 中ビール2本、焼酎2杯を飲み干し、数種類の焼鳥を食べた。しめて2800円なり。値段と味のバランスがとてもいい。いや、値段以上の味といえる。

 ほろ酔い気分で柏に到着したが、胃袋がまだ何かを欲している。柏2丁目酒場なる名前の立ち飲み屋のノレンを押した。大ビール、煮込み、オニオン揚げを注文する。この店、徹底的にコスト削減して値段に反映させるため、ビール瓶は栓を付けたまま出てくる。僕は自分で栓を抜き、グビグビいった。ビールはどの店で飲んでも変わらない。よく冷えていれば美味いのである。会計はたったの780円。すごく得した気分で帰ることができた。

 

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